2021年5月5日水曜日

「 ゴルフ」7 :身体を使うときの心理的な問題

  前回、人間がボールを打つ時の認知のズレについてお話ししました。そうすると、通常は重い棒で重たい対象物を叩き、押し出そうと力が入る、いわゆる「力み」は”自然”な反応だということになります。ただ、この自然な反応が、ゴルフでは悪影響を与えます。本来は軽いボールを速いスピードで打つのがゴルフなのですが、一般のアマチュアは重たいボールを、強い反作用に負けないように「力み」で打っています。

 この「力み」は2つの問題をゴルファーにもたらします。

 1つ目は、力むと筋肉は速い運動ができません。実際やって見ると、腕や肩に力が入った場合は腕を速く振れません。脱力したほうが速く振れます。したがって、何も持たないか、軽い棒を持って振ったときに、腕はMax速度を出せます。よくクラブを逆さまにヘッド側で握って素振りするレッスンがありますが、その状態で振った時のスピード感を身体に記憶させて、それに実際のスイングを近づけるのが主旨です。

 2つ目は、力むと関節の可動領域が狭くなります。これは身体的、物理的にも自然なことです。そして、これがゴルファーに与える悪影響は、捻転が不足したり、手首のコックがうまく使えないということに現れます。

 このように、スイングにとって加速のための「力」は必要ですが、「力み」は百害あって一利なしです。しかし、一般に「力み」をなくそうとすると「脱力」ではなく「ゆるみ」になって、スイングに必要な「力」自体もなくなってしまい、スイングが乱れてしまうケースが多々みられます。ですから一般アマチュアは悩むのです。

ではどうしたらいいのでしょう?

 本来なら、最初に述べた「軽いボールを速いスピードで打つ」というのを脳の無意識な記憶として埋め込むのがよいのですが、これは単に理解しただけでは不可能です。もちろん、そのことをちゃんと理解しておくことは重要なのですが、無意識な記憶として埋め込むためには、遠くに飛ばすという意識ではなく、スイートスポットに当てる経験を積んでいくのが良いと思われます。スイートスポットに当っていれば、インパクトでの手への衝撃は小さく、脳には「力を入れなくても当たれば飛ぶ」というのが次第に感覚として記憶されていき、身体がそれに反応していきます。逆に、芯から外れてインパクトで手に衝撃がある練習を繰り返すと、次第に「力み」の反応を学習していきます。ただ最初からそういう指導を受けて入ればですが、今更はなかなか実行できませんよね。

 それに加えて、クラブに与える力を最小限に抑える、つまり与えた力(正しくは力積)がボールを飛ばすための効率的なクラブスピードに変換できるものだけにして、余分な力をそぎ落とすことが重要です。見方を変えれば、身体から出力されたものが本来の目的に一部分しか使われておらず、他の部分は無駄になっていることがわかれば、脳は無駄な力を出さなくてもよいことになり、自然と力みも減ってきます。このためには、ボールの打ち出しスピードがクラブのどのような運動によってもたらされるのか、そしてその運動に導くためにはどうしたらいいのかを理解する必要がでてきます。

 それを理解する上で、このブログの冒頭で書いた物理学の出番になりますが、次回以降にそれを探求していきます。

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